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日本における金融教育としては、第2次世界大戦後から間もない1952年に発足した貯蓄増強中央委員会(日本銀行内に設置)が、特定の小学校や中学校を指定して「金銭教育」の普及を図ってきた。 金銭教育の主眼はもっぱら貯蓄の奨励だ。
政府は貯蓄によって集められた資金を、特定の産業(戦後の昭和20年代では石炭や海運、電力など、その後昭和30年代では重化学工業など)に集中的に配分するという傾斜金融方式を採用した。 貯蓄の奨励には、日本の経済成長を支えるという目的があった。
これはまさに、銀行が預金者から集めた資金を産業に提供するという間接金融主体の金融教育だった。 貯蓄増強中央委員会は88年に貯蓄広報中央委員会と名称を変更するが、その名称に依然「貯蓄」という名前が用いられていることからも、間接金融に対するこだわりがあったことをうかがわせる。
しかし、貯蓄奨励型金融教育は一つの大きな欠陥を生んだ。 それは資産運用にかかる金融リスクを認識させなかったことだ。
貯蓄奨励型金融教育は当然のことながら、郵便局や銀行に対する貯蓄を奨励する。 郵便貯金は預貯金の安全性を100パーセント国が保証するものであり、銀行預金もまた、かつての大蔵省の護送船団行政により安全性が保証されているという先入観を消費者の意識の中に形成した。
つまり、日本人は運用リスクに関する教育を受けてこなかったのだ。 これでは、金融リスクに関する認識など生まれるはずもない。
その結果、日本では安全・確実な運用手段として銀行預金がいまだに資産運用の中で最も高い比率を占めている(2007年度末時点で52%)。 この比率は米国(10%台)や英国(20%台)と比べても格段に高く、資産運用には保守的と言われるドイツ(30%台)と比べてもまだ高い。

日本のビッグバンが始まってから、すでに10年以上の歳月が経過した。 ビッグバンの目的の一つには、間接金融から市場型金融(株式や投資信託など市場型の金融商品を通じて企業へ資金提供する金融方式)へと流れを変えることにあったはずだが、少なくともこれまでのところ、資産運用面ではビッグバンの効果があったとは言い切れないようだ。
しかし、考えてみればそれは当然のことかもしれない。 日本ではこれまで金融リスクを知らしめる金融敦育というものが行われてこなかったからだ。

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